平成二十年度卒業式が二月二十八日(土)に本校体育館で挙行される。
平成二十年度卒業証書授与式 式辞
厳しい冬に耐えた梅が、ふくいくたる香りを漂わせ、春の訪れを感じるよい季節となりました。
本日、ここに、愛知県立日進西高等学校の第二十四回卒業証書授与式を挙行するにあたり、御多用のところ日進市副市長 田中民雄様を始め、日進市教育委員会教育長 山田誠子様、地元中学校の校長先生方、本校歴代PTA会長様など多数のご来賓の方々、そして保護者の皆様方の御臨席を賜り、卒業生の新たな門出を祝福していただきますことは、誠に光栄と存じ、厚く御礼申しあげります。
とりわけ保護者の皆様には、ご労苦が実り、ここに立派に成長されましたお子様が晴れの門出の日を迎えられましたことを、心からお祝い申しあげます。
さて、先程、二百七十二名の、第二十四回生の皆さんに卒業証書を授与いたしました。皆さんの努力が実を結び、卒業の栄誉を得られたことを祝福したいと思います。
三年前に入学式で皆さんを迎えてから、日進西高校での毎日が始まりました。皆さんは、のびのびと自由な中にも規律を重んじる校風を受け継ぎ、この自然に恵まれた学舎で、よき師とよき友に恵まれ、日々の授業や部活動、そして文化祭、体育大会、遠足、修学旅行などの学校行事に意欲的に取り組んできました。また希望する進路をめざしての学力向上講座、夏休みの学習会などにも進んで参加して努力を重ねてきました。
皆さんは先生方や保護者の期待に応えて努力を重ね、たくましく、また心豊かな人間に成長してくれました。しかし、この晴れやかな卒業の日を皆さんが無事迎えられたのは、ご両親をはじめ多くの方々のご協力、ご支援のおかげであります。そのことを肝に銘じてほしいと思います。
ところで、さる一月、ニューヨークのハドソン川に旅客機が不時着して、一五五人の全員が無事に救出される「ハドソン川の奇跡」と呼ばれる事故がありました。飛行機の離陸直後に、鳥の群れがエンジンに衝突してエンジンが停止したことによるものでした。機長さんは元の空港に戻るにしても、他の空港に着陸するにしても、高度が低すぎる、また速度も遅すぎると判断して市街地を避け、ハドソン川への緊急着水を選んだのでした。
この間、わずか3分間のことでした。このときの機長さんの瞬時の決断力や、川に飛行機を滑るように着水させた熟練の技など高く評価され、「ハドソン川のヒー口ー」と称賛されました。
機長さんが全員の脱出を確認してから機内を二度見て回り、最後に自分が脱出したという逸話はあまりに有名ですが、後日、公式の場でこのような発言をしたと伝えられています。「経験豊かな乗員がそろい、みんなが訓練通りに仕事をしたまでです。」謙虚な言葉ですが、皆さんにこの言葉の意味をよく考えてほしいのです。
このとき仕事をした人(役割を果たした人と言ってもいいかもしれませんが)は、機長さんだけではありません。着水直後、パニックになりかけた乗客に適切な避難誘導した乗員、パニックをこらえ救出されるまで翼の上で励まし合った乗客、いち早く駆けつけたフェリーやレスキュー隊員、ボランティアなど。目の前で失われようとしている命を救うために、自分のできることをした人は、たくさんいたのです。
「英雄とは自分のできることをした人だ」という言葉があります。この意味ではこの事故に係わって自分のできることをした人は、すべて英雄、ヒーローです。
皆さんも、これから自分が決めたさまざまな道に進んでいきます。どうか、それぞれの道で自分のできることをきちんと責任をもってやりとげてください。
また、昨年の秋、日本人が相次いでノーベル賞を受賞するという、うれしいニュースが日本中を明るくしました。その一人、ノーベル化学賞を受賞した下村さんは、クラゲを追究して蛍光タンパク質(光るタパク質・GFP)を発見した三十年前の功績が認められたものです。従来、ガン細胞が体のどの部分に転移するかを調べる場合、小さな転移はなかなか見つけにくかったのです。ところが、ガン細胞にこの蛍光タンパク質(GFP)を入れると細胞が数個あれば光り、どこに転移しているかが分かるようになったのです。
この発見に至るまで下村さんは、毎年、夏の一か月程の間、家族を総動員して、オワンクラゲを一万匹も集めて精製し、わずか数ミリグラムの蛍光物質を取り出す作業を十年続けたのでした。
世の中のことは、簡単に成果が出ないことが多いと思いますが、下村さんのこの受賞は、地道に努力している人に大きな希望を与えたことと思います。
私は、皆さんにはなむけの言葉として、「感謝と貢献」という言葉を送ります。日本人は古来、きめ細かな感性をもち、勤勉と学問を重んじる伝統があります。皆さんには、この伝統を受け継いだうえで、皆さんがそれぞれ進む道で、専門の分野で自分の力をどのように発揮して、社会に貢献していくのかを考えていってください。
皆さんが旅立っていく道は、平坦な道ばかりではありません。百年に一度と言われる経済不況に揺れる時代だからこそ、耐えるべき時は耐えつつ、本校の卒業生であることを誇りとし、それぞれの夢の実現を目指して努力を重ねるとともに、また、他人へのおもいやりを欠かさない、心豊かな人生を送ってくれることを念じています。
終わりに臨み、第二十四回卒業生、二百七十二名の新たな門出を重ねて祝福するとともに、本日御臨席くださいました御来賓並びに保護者の皆様方のますますの御健勝と御多幸をお祈りいたしまして、式辞といたします。
平成二十一年二月二十八日
愛知県立日進西高等学校長 安田 英和